カンジタ
口腔カンジダ症とは
カンジダ症はCandida属菌種により引き起こされる日和見感染症であり、皮膚・粘膜を侵す表在性カンジダ症と、消化管、気管・気管支・肺、腎・尿路系、その他の深部臓器を侵す深在性カンジダ症(内臓カンジダ症)に大別されます。
近年、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の付随疾患としても注目されています。
口腔カンジダ症はその病型により偽膜付着を伴う紅斑性またはびらん性粘膜や白色肥厚性粘膜など多彩な肉眼像を呈し、時に潰瘍形成を伴います。
真菌に属するCandida albicans による口腔粘膜感染症で、口腔真菌症のなかでは最も多い疾患です。
モリニア症ともいわれています。
原因
1:原因・誘因
カンジダ アルビカンス(Candida albicans)は病原性が乏しい口腔内常在菌で、健康人にカンジダ症が発症することはきわめてまれです。
一般に発生の誘因として悪性腫瘍、血液疾患、免疫不全症、結核および糖尿病などの基礎疾患の存在があげられています。このような基礎疾患を持たない場合の罹患者は乳幼児、老人、妊婦などの体力や抵抗力の弱い人がほとんどです。
また抗生物質療法によって口腔内常在菌のバランスが崩れ、しばしば菌交代現象として発生します。
2:カンジダ属の微生物学的位置づけ
Candida属菌種は不完全菌種、クリプトコッカス科に属する真菌です。
健康人の口腔、腸管、膣などの常在菌であり、7〜8種類の常在菌種が分類されています。
口腔カンジダ症の臨床的分類
口腔カンジダ症は経過および症状の相違により4型に分けられます。
急性偽膜性カンジダ症
急性萎縮性カンジダ症
慢性肥厚性カンジダ症
慢性萎縮性(紅斑性)カンジダ症
1.急性偽膜性カンジダ症
はじめは頬、口蓋、口唇あるいは舌の粘膜に白い苔状物が散在性もしくは孤立性に現れます。
その後拡大傾向を示し、放置されると口腔粘膜が広範囲にわたり白苔で覆われるようになります。
白苔は易剥離性で剥離後の粘膜びらん面は発赤し出血をきたしやすいです。
この時期に強い摂食時痛がありますが、次第にこの白苔は剥離しにくくなります。
2.急性萎縮性カンジダ症
急性萎縮性(紅斑性)は抗生物質の長期使用による菌交代現象の結果として生じるものです。
ほかにも急性偽膜性カンジダ症の被苔が除去されると本病型となる。
自発痛の強いびらんが特徴である。
3.慢性肥厚性カンジダ症
急性偽膜性カンジダ症から移行したものが多いようです。
白い偽膜は厚くなり粘膜上皮に固着して粘膜上皮層の肥厚と角化亢進を示します。
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4.慢性萎縮性(紅斑性)カンジダ症
慢性萎縮性(紅斑性)カンジダ症は、義菌性口内炎とも呼ばれ、通常は口蓋粘膜の総義歯接触面に生じる。
多くは無症状であるが、時に患部の浮腫や疼痛を訴える。
臨床的特徴
好発部位
頬、口蓋、口唇および舌の粘膜で、歯肉に発症することはまれです。
臨床症状
1:口腔カンジダ症における潰瘍
急性偽膜性、急性萎縮性、慢性萎縮性カンジダ症などにおいてしばしば粘膜のびらんを認めます。いわゆる粘膜上皮下へ組織欠損が及ぶ潰瘍の形成は口腔カンジダ症では一般に稀です。
しかし、慢性口腔カンジダ症において白色病変内に亀裂状潰瘍を認めることがあります。
口腔カンジダ症における菌増殖部位は粘膜上皮表層であり、このような粘膜形成は菌が粘膜下組織内まで侵入して増殖した結果ではなく、むしろ病変の持続に伴う2次的変化と考えられ、非特異性潰瘍に属するものです。
すなわち、口腔カンジダ症では、口腔粘膜の結核や梅毒で認めるような特異性潰瘍は形成されません。
2:他の口腔粘膜疾患への続発性カンジダ菌感染
カンジダ菌感染症として古くから注目されている疾患の一つに口腔白板症があります。
口腔白板症のカンジダ菌感染率は6.8%〜54.2%であり、中でもspeckled typeの白板症は感染率が高い。またカンジダ菌が分離される口腔粘膜潰瘍の多くは、カンジダ菌が一次的原因でなく、既存の潰瘍形成疾患への続発性カンジダ菌感染です。
性器カンジダ症
性器カンジダ症(せいきカンジダしょう、英:genital candidiasis)とは、カンジダという真菌が性器に感染して生じる感染症。
特に女性の膣に起きるケースが多く、その場合カンジダ膣炎または、膣カンジダ症(ちつカンジダしょう、Vaginal thrush、または、Vaginal candidiasis)と呼ばれる。
概要
カンジダは不完全菌に属する酵母の代表的なものであり、もともと性器周辺やその他の体表に存在している菌、いわゆる常在菌で、健康な人体は免疫により過度の増殖を防いでいるが、体調の悪化などで免疫力が落ちると繁殖して日和見感染を起こすことがある。
性器カンジダ症は、男性器と女性器の構造の違いにより、体外に露出していて通気性が良くあまり菌が増殖する環境にない男性器では起こりにくい
(ただし包茎の人はやや発生率が上がる)。
一方、女性には非常にポピュラーな症状で、性交未経験者でもしばしば自発し、痒み等性器の異常を感じて婦人科を受診する人のうち多くの割合を占める。
カンジタ症は、ビタミン欠乏症による免疫力の低下が主因で引き起こされる、悪玉菌増加による日和見感染である。
カンジタ菌そのものは、元来はヒトの体表や消化管、それに女性の膣粘膜に普通に生息するもので、多くの場合は特に何の影響も与えない。
また味噌やワインの発酵などにも関与している。
症状
強い痒み
白いドロッとした、あるいは塊状のおりもの(酒粕、カッテージチーズ、ヨーグルト、豆腐くず等に似た状態)、亀頭からの分泌物
膣口や陰唇、亀頭などの外陰部が真っ赤に炎症する
原因
性器カンジダ症は、以下のような原因で発生する。適切な治療を行えば短期間で治癒するが、発生原因となる生活習慣を持っている人は再発を繰り返しやすい傾向もあり、慢性化する場合がある。体調不良、過労、ストレス体力・免疫力が落ち、菌に対する抵抗性が低下すると、
常在菌が異常増殖する。
月経前(黄体期)、妊娠中、ピルの服用女性の膣内は普段乳酸桿菌の作用による酸性の粘液で保護され、必要以上の常在菌の増殖を抑えているが、ホルモンバランスの変化により膣粘液の
自浄能力が低下すると、常在菌が異常増殖する場合がある。
抗生物質の服用抗生物質によって普段性器を守っている善玉菌など他の細菌が死滅すると、
体内の菌叢バランスが崩れ、真菌であるカンジダが異常増殖する場合がある。
通気性の悪い下着・衣類の着用による陰部の蒸れ適度に温かく湿気の多い環境は、
菌にとって格好の繁殖場所となる。
性行為によるパートナーからの感染性交パートナーの性器にカンジダが増殖していると、性行為を通じて感染する場合がある。
ただし前述のとおり、女性から男性へ感染する可能性はかなり低い。
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